キャッシュ
英語:Cache
直訳:(隠し場に)蓄える
この記事では、日常的に使われるIT用語の「キャッシュ」の基本的な定義から種類、動作原理、メリットとデメリット、そして最適な利用方法まで、初心者でも理解できるように詳しく解説します。
キャッシュの意味とは
キャッシュとは、ざっくり言うと「すぐに手に取れる場所に置いておく」ことです。これをもっとわかりやすく説明するために、あなたが図書館で本を探すシチュエーションを思い浮かべてみてください。
図書館には本が山ほどあります。でも、その全てを一度に持ち歩くことはできません。そこで、よく読む本や最近読んだ本を自分のデスク(これがキャッシュの役割です)に持ってきておくと、次にその本を読みたくなったときにすぐに取り出すことができます。これで、本棚まで歩いて本を探す時間(これがコンピューターの世界でいう「アクセス時間」)を節約できます。
ただし、デスクのスペースは限られているので、新しい本を置くスペースを作るためには、あまり読まない本や古い本を本棚に戻す必要があります。これがキャッシュを更新したり削除したりすることに相当します。
つまり、キャッシュはコンピューターがデータを素早く取得できるようにするための工夫で、データ処理をスムーズに進めるための仕組みのことを意味します。
関連用語
キャッシュサーバー
キャッシュの定義
キャッシュとは、一般的には、データや情報を一時的に保存しておく高速な記憶領域のことを指します。この記憶領域は、データの取得や再利用を迅速に行うために使用されます。
コンピューター科学におけるキャッシュ
コンピューター科学の観点から見ると、キャッシュは主記憶装置やデータベースからのデータの読み取り速度を向上させるための技術です。CPUキャッシュ、ブラウザキャッシュ、データベースキャッシュなど、用途によってさまざまな種類のキャッシュが存在します。
キャッシュの役割と目的
キャッシュの主な役割は、データアクセスの速度を向上させることです。これは、頻繁にアクセスするデータや最近アクセスしたデータをキャッシュに保存することで、次回そのデータが必要になったときに高速に取得できるようにするためです。
また、キャッシュはトラフィックの軽減や、CPUとメモリの負荷を減らすという目的も果たします。
キャッシュの種類とその違い
キャッシュには様々な種類があり、それぞれが異なる目的と機能を持っています。
ブラウザキャッシュ
ブラウザキャッシュは、ウェブブラウザがウェブページの要素(画像、スタイルシート、JavaScriptファイルなど)を一時的に保存するためのものです。これにより、同じページを再度訪れたときに、すでにダウンロード済みの要素を高速に表示できます。これはウェブページの読み込み時間を短縮し、ユーザー体験を向上させます。
CPUキャッシュ
CPUキャッシュは、プロセッサが頻繁にまたは最近アクセスしたデータを一時的に保存するための高速な記憶領域です。これにより、CPUはメインメモリからデータを取得するよりもはるかに高速にデータにアクセスできます。これはコンピュータのパフォーマンスを大幅に向上させます。
関連用語
CPU
データベースキャッシュ
データベースキャッシュは、クエリ結果を一時的に保存するためのものです。
これにより、同じクエリが再度実行されたときに、データベースからデータを取得するよりも高速に結果を取得できます。これはデータベースのパフォーマンスを向上させ、サーバーの負荷を軽減します。
キャッシュの動作原理
キャッシュの動作原理は、その生成、更新、削除のプロセスを通じて理解することができます。
キャッシュの生成
キャッシュの生成は、データが初めて要求されたときに行われます。例えば、ウェブブラウザでウェブページを初めて開くと、ブラウザはページの要素をダウンロードし、それらをブラウザキャッシュに保存します。同様に、CPUがデータを初めて要求すると、そのデータはCPUキャッシュに保存されます。
キャッシュの更新と削除
キャッシュの更新は、キャッシュされたデータが変更されたとき、または新しいデータがキャッシュに必要となったときに行われます。
キャッシュの容量は限られているため、新しいデータをキャッシュするためには、古いデータやあまり使用されないデータを削除する必要があります。
このプロセスは「キャッシュの削除」と呼ばれます。どのデータを削除するかを決定するために、様々なキャッシュ置換アルゴリズム(最も古いデータを削除するLRUなど)が用いられます。
キャッシュと他の技術比較
キャッシュは他の技術と組み合わせて使用されることが多く、それぞれが異なる目的と機能を持っています。
キャッシュとクッキー
キャッシュとクッキーは、両方ともウェブブラウザにデータを保存するために使用されますが、その目的と機能は異なります。キャッシュはウェブページの読み込み速度を向上させるために使用されますが、クッキーはウェブサイトがユーザーの設定やログイン情報などを記憶するために使用されます。
キャッシュとセッション
キャッシュとセッションも似ていますが、異なる目的で使用されます。キャッシュはデータの高速アクセスを可能にするために使用されますが、セッションはウェブサイトがユーザーの状態や活動を追跡するために使用されます。
キャッシュとCDN
キャッシュとCDN(Content Delivery Network)は、両方ともウェブページの読み込み速度を向上させるために使用されます。キャッシュは個々のユーザーのブラウザにデータを保存しますが、CDNは地理的に分散したサーバーにデータをキャッシュすることで、ユーザーがデータにより高速にアクセスできるようにします。
キャッシュの最適な利用方法
キャッシュを最適に利用するためには、適切な設定と管理が必要です。
キャッシュの設定と管理
キャッシュの設定と管理は、その種類と用途によります。例えば、ウェブブラウザのキャッシュの場合、ブラウザの設定でキャッシュのサイズを調整したり、特定のウェブサイトのキャッシュを無効にしたりすることができます。
また、サーバーサイドのキャッシュ(例えばデータベースキャッシュ)の場合、キャッシュのサイズや有効期限、キャッシュ置換アルゴリズムなどを適切に設定することが重要です。
キャッシュのクリア方法
キャッシュのクリアは、キャッシュが古くなったときやパソコンが重くなったなどの問題が発生したときに行います。ブラウザのキャッシュの場合、使用しているブラウザの設定メニューからキャッシュをクリアすることができます。
サーバーサイドのキャッシュの場合、キャッシュを管理するソフトウェアやサービスの管理ツールを使用してキャッシュをクリアします。
関連用語
キャッシュサーバー
キャッシュと関連があるIT用語
オプティマイズ
キャッシュは、パフォーマンスを最適化するための一つの方法です。キャッシュを使うと、頻繁にアクセスするデータをすぐに取得できるため、パフォーマンスが向上します。
クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティング環境では、キャッシュがデータの読み取り・書き込みを高速化し、エンドユーザーにとってパフォーマンスを向上させる重要な役割を果たします。
ストリーミング
ストリーミング技術ではキャッシュが頻繁に用いられます。動画や音楽などのコンテンツをスムーズに再生するために、ストリーミングは一部のデータをキャッシュとして先に読み込みます。
ストレージ
ストレージとキャッシュは、どちらもデータを保存する場所ですが、それぞれの目的と使用方法は異なります。キャッシュは一時的なデータ保存のために使われ、ストレージは長期的なデータ保存のために使われます。
バックアップ
バックアップはデータ保護の一部であり、キャッシュはシステムパフォーマンスの向上に寄与します。しかし、一部のシステムでは、キャッシュデータもバックアップの一部として保存されることがあります。